グリコーゲンローディング法とは、試合当日に向けて体内のグリコーゲンの貯蔵量を普段の170%に高めるグリコーゲンの貯蔵法のこと。
グリコーゲンは炭水化物(カーボハイドレート:Carbohydrate)から変換されることから、カーボローディング法とも言われます。
グリコーゲンローディング法は「持久性スポーツでは主要な食事戦略」と言われていましたが、成功が難しいことから避けられるようになりました。
旧グリコーゲンローディング法は成功確率が低すぎた!?
グリコーゲンローディング法は単に食事の糖質を増やすのではなく、
- 試合の7日前から始めの3日間は低炭水化物の食事を続け、
- 蓄えた糖を5日前の「WASH OUT」で一度使い切りゼロにします。
※練習量を増やすことで、体内の糖を使い切る。 - その後に高炭水化物の食事を続けると、筋グリコーゲンの量が170%の状態になる。
というものでした。
旧グリコーゲンローディング法の問題点
ところがこの方法では問題点が幾つもありました。
- 専門的な医者が帯同しないと炭水化物を使い切るための練習量がわからない。
- 選手がWASH OUTの過酷な練習で疲れ切り、回復できるか分からない。
疲れ切った状態では食事量を増やすどころか、喉を通らない。 - 食事が苦手な選手は特に、炭水化物を理論通りに増やせない。
たとえば「通常の2倍程度」と予定しても、「どんぶりご飯を1杯」食べる人が「どんぶりを2杯」食べれるでしょうか。
当然ながら失敗するとパフォーマンスが極端に落ちることから、2006年現在一般的な方法ではなくなりました。
そして新たに主流となったのが「新カーボローディング法」だったのです。
新グリコーゲンローディング法で簡単にパフォーマンスがアップ!
新グリコーゲンローディング法は選手の回復能力に依存することなく、練習量の調整と栄養管理により簡単にできるようになりました。
①練習量の削減と調整
新グリコーゲンローディング法は、試合前1週間から体を回復に専念させる。
- 試合の1週間前から練習量を落とし始め、体調を整える。
- 大きな負荷が掛かるトレーニングは避け、回復させる。
(例;筋トレや瞬発系トレーニングなど。) - 練習時間を徐々に短縮する。
(例;10本やっていたものを毎日1本ずつ減らす。)
②食事と栄養管理による調整
- 試合の3~5日前から通常に加え、炭水化物の食品を増やす。
- 複合炭水化物を中心にする。
単糖類と二糖類を合わせて糖類。糖類と小糖類を合わせて単純炭水化物。多糖類と食物繊維を合わせて複合炭水化物と言います。
複合炭水化物の例は、オートミール、玄米、そば、パスタ、じゃがいも、とうもろこし…などがあります。 - 単糖類と二糖類のお菓子や甘いパンなどでは食欲がすぐに満たされ、その後の食事で通常の量さえ食べれなくなる恐れがあるために炭水化物の増量は見込めません。
また、食事内容が変わることでビタミンやミネラルの摂取量が減ることにもつながります。
③試合直前の栄養管理
- 試合の前日から当日も炭水化物中心の食事にします。
(全体の摂取量は通常程度に戻します。)
カーボローディング法の予行演習
カーボローディング法の準備として、普段から食事内容の記録が必要なことは勿論、練習内容と量を比較する必要があります。
練習試合などで「カーボローディング法の予行練習」も行い、どれだけ炭水化物が増やせるかを試しましょう。
なお炭水化物の食品を増やすことが困難な場合は、ドリンクタイプやゼリータイプのサプリメントを活用してみましょう。
【参考】ゼリー系のエネルギー補助食品
より本格的にカーボローディング法を実践する
より専門的に行う場合は、グリセミック インデックス(GI値;炭水化物の吸収されやすさ)を活用し、試合日にエネルギーとして活用されるように調整します。
選手の体力づくりやコンディションを維持するのに欠かせないのが糖質であり、カーボローディング法の栄養管理で重要となるのが炭水化物(糖)のグリセミック指数です。