メタボリックシンドロームに続く新たなリスクとして、最近注目を集めている「サルコペニア肥満」をご存じでしょうか。 生活習慣病になるリスクは普通の肥満の約2倍というサルコペニア肥満は、ダイエットにおいて悪循環に陥った状態のことです。
サルコペニア肥満と生活習慣病
サルコペニア肥満とはギリシア語の「サルコ=筋肉」「ペニア=低下」を合わせた造語で、体重は変わらずに筋肉がやせ細り、代わりに脂肪が蓄積されるタイプの肥満症のことです。
この悪循環から脱出するために重要なのは、筋肉量を増やし、筋肉率を上げること。
筋肉率とは体重に占める筋肉の割合のことで、筋肉率が高いということは筋肉の量が増えた状態から脂肪を燃やし始めている状態です。
筋肉量が多いほど基礎代謝も高いため、痩せやすい体であるといえます。
筋肉率の低下と基準率
筋肉率は性ホルモンや生活環境の変化により、20代前半をピークに年齢を重ねるほど低下します。
サルコペニア肥満を予防するには、若いうちから適度な筋肉量の維持が大変有効です。
筋肉率の標準値はだいたい「男性が30~35%、女性が25~28%」で、この値を下回ると危険信号の手前と言われます。
体にはすでに様々な悪影響が出始めているかもしれません。
そもそも筋肉はエネルギーを燃やし熱を生み出しますが、筋肉率が低いと体内の熱産出が減り、体温が下がると痩せにくくなります。
さらに筋肉のもつ血流のポンプ機能も弱くなるため、基礎代謝や免疫力も低下し、虚弱体質になります。
筋肉率を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?
基礎代謝量に関わる筋肉量を増やすコツとは
先にも挙げた通り筋肉率を上げるためには、まず筋肉量を増やすこと。
最も簡単に筋肉量を増やすには、大筋群(大きな筋肉)を鍛えることが優先。
下半身であれば太ももの大腿四頭筋、上半身なら腰回りの大腰筋などが該当します。
大筋群は筋肉の中でも比較的増えやすいため、筋トレの効果を実感しやすいと言えます。
まずは効果が出やすい筋トレを組み合わせると継続しやすくなり、継続へつながると思います。
筋肉率の計算方法
筋肉率の計算方法は体組成計での測定が一番確実。
(1)体脂肪計で体脂肪率を測る。
(2)体重(kg)×体脂肪率(%)÷100で、体脂肪量(kg)を出す。
(3)体重(kg)-体脂肪量(kg)で、
除脂肪体重(kg ※筋肉、骨、内臓などの重さ)を出す。
(4)除脂肪体重(kg)÷2=筋肉量(kg)
(5)筋肉量(kg)÷体重(kg)×100=筋肉率(%)
自分の筋肉率は一度計算するのが妥当ですが、いつも体組成計で意識するのが安全に決まっています。
簡易サーキットトレーニングもおすすめ
次は筋肉率を上げながら、脂肪も燃焼させましょう。
おすすめはウォーキングや水泳などの有酸素運動と、腕立て伏せやスクワットなどの筋トレを組み合わせたトレーニング。
また日々の食事で、筋肉のもとになる良質なタンパク質(牛ヒレ肉、鶏ささみ肉、大豆食品など)を増やすことも効果的ですが、プロテインなどのサプリメントもおすすめ。
最後のワンポイント
指導者として見ていると、食事を用意することに疲弊し継続できい人を多く見ます。
目的は脂肪の燃焼と体調管理であるため、サプリメントなどで力を抜くことも大切と言えます。