乳酸は疲労物質だと言われることがありますが、乳酸の役割と疲労物質の定義とは何でしょうか?
乳酸は疲労物質?疲れの原因を指す疲労物質の定義とは
昨今は減りつつありますが、2013年11月28日現在未だに「乳酸は疲労物質だ」と耳にします。
疲労物質とは疲労の原因となる物質だと仮定すると「乳酸は『酸』なので血液中に溜まると血液が酸性に傾き筋肉の動きを阻害する」という考えから、「乳酸も疲労物質だ」と主張されることが多々あります。
疲労物質とは何のことを指し、乳酸は疲労物質なのでしょうか。
疲労物質の定義と乳酸とは何か
乳酸が疲労物質か否かを判断するためには定義を知る必要がありますが、2020年6月30日現在どこにも見当たりません。
定義が曖昧なために間違いが広まっていると予想されます。
- 「疲労物質とは疲労した状態で体内に存在する物質だと定義すると、乳酸は疲労物質」になりますが、
- 「疲労物質とは体内に存在することで疲労の原因となる物質だと定義すると、乳酸は疲労物質ではない」ことになります。
素人レベルでは①、学者レベルでは②だと認識されているように感じられます。
乳酸は疲労物質ではない
体には乳酸の酸を中和させる働きが多く、多くの乳酸は中和されて塩(えん)と言う状態で存在します。
そのため、間違って広まった体内を傷つける疲労物質ではありません。
※塩とは「酸の陰イオン」と「塩基の陽イオン」がくっついたもの。
乳酸は糖がATP回路で分解された一部の物質
そもそも糖と言うエネルギー源を分解すると、エネルギーとATPと乳酸が出ます。
さらにATPと乳酸はエネルギーを取り出されながら分解され続け、最終的に「水と二酸化炭素」になります。
つまり「エネルギー源が分解されて細かいエネルギー源になった」のです。
エネルギーを燃やすには酸素が必要なので、酸素が不足すると糖の分解された一部が血中に乳酸という形で残るというだけだったのです。
乳酸は酸素不足で血中に存在する
簡単に言うと血液中にある「乳酸」は、エネルギーを燃焼させる上で酸素と結合して水と二酸化炭素へ分解されます。
ところが酸素の供給不足になるとエネルギーを燃やせずに乳酸が余ります。
そこで血中に余ったものが乳酸なので疲労物質と勘違いしたようです。
エネルギー源を分解するには別のエネルギーが必要になるため、既に分解されているエネルギーを使った方が加えるエネルギーが少量で済むため、運動状態でなくても酸素が供給されれば自動的に優先されて分解されます。
乳酸は決して疲労物質ではなく、酸素不足でエネルギーになりそこねた物質だと言えます。
乳酸の参考文献
乳酸・持久系の運動で浪費されるエネルギーを正しく理解するには上の本が参考になります。
分かる範囲で読むぶんには誰でも読めますが、ちょっと難しい本なので完全に理解するにはそれなりの学力が必要です。
乳酸を完全に疲労物質と勘違いしている人には絶対に読んで欲しい一冊。
【参考】乳酸の参考文献