スロートレーニングは1970年代に提唱され、もともとは骨粗しょう症に悩む女性のための筋力向上プログラムとして、様々な実験とともに始まったトレーニング方法です。
スロートレーニングとの出会い
参考文献の著者である大川達也氏とスロートレーニングの出会いは、野茂英雄氏にニューヨークヤンキースのスプリングキャンプを紹介されたことから始まりました。
隣で行われていたNFLのタンパベイ・バッカニアーズのキャンプで、1997年シーズンからストレングス&コンディショニング・コーチに就任したばかりのマーク・アサノビッチ氏によって伝授されます。
筋トレ本来の目的とは
ストレングストレーニング(以下、筋トレ)は第一に怪我の防止、第ニに競技力の向上(パフォーマンスアップ)、第三にリハビリテーション、第四にメンタルタフネスを養うこと、第五に健康の増進です。
これらに共通する目的は体を健康な状態にすることです。
※写真は参考文献であり、決して写真を選ぶのが面倒だからではない。
アスリートとクイックリフトのリスクとは
瞬発力を必要とする競技では速筋繊維を使うため、競技同様に素早く動かすクイックリフトが速筋繊維へ刺激を与えるとされてきました。
クイックリフトであれば遅筋繊維が反応する前に速筋繊維へ刺激が入ると考えられたのです。
しかし重い重量を速いスピードや反動を使って挙げるクイックリフトでは、姿勢が崩れやすく、姿勢が崩れることで本来刺激を入れたい筋肉へ刺激が入らなくなります。
疲労の蓄積と怪我
また筋肉よりも先に腱や靭帯へ疲労が蓄積し、怪我の不安を常に抱えることになります。
競技の疲労も合わせると、回復しにくい腱や靭帯の怪我をしやすくなるため、筋トレ本来の目的を果たせません。
また規定の回数で追い込むためには補助者も必要となることから、環境の問題もあります。
筋繊維の反応速度
筋トレにおけるクイックリフトには意味が無く、怪我の元になる可能性も分かりました。そこでスロートレーニングの有効性を検証します。
速筋繊維と遅筋繊維では負荷に対する反応速度が「まばたきもできないほどの差(最大で1000分の90秒)」であるため、クイックリフトで速筋繊維にだけ刺激を入れることは出来ないのです。
発想の転換
速筋繊維だけを鍛えることはできませんが、遅筋繊維を使い果たしてから速筋繊維を鍛えても(正確には両方使い果たせば)良いのです。